日教弘

(公財)日教弘北海道支部の沿革History

1.日本教育公務員弘済会の創立と基本精神

第二次世界大戦後、日本社会は混乱が続き、戦争で壊滅した産業界の復興は思うように進まなかった。国内の鉱工業生産力は低下し、失業者は街にあふれていた。また、教職員の生活も困窮を極めていた。

こうした中、昭和24(1949)年、静岡県は、教職員の福利厚生の一環として「静岡県弘済貯蓄組合」を立ち上げ、その後、保障策も加えた「静岡県教育公務員弘済会」が設立された。これを原型に、昭和27(1952)年には、岡山、茨城、宮城県で弘済会が発足した。

当時、岡山県知事であった三木行治氏を中心に教育界出身の志ある教育委員等により「日本の復興は教育をおいてない。そのためにも、教師自らが自身の生活を守り、後顧に憂いなく教育に専念できる環境を創らねばならない」と決意し、「教職員のみを対象にした生命保険を考えられないか」と協栄生命川井三郎社長(元東北大学教授・統計学最高権威者)に相談を持ちかけた。

この相談を受け、川井社長は「この保険は儲からないだろう。しかし、全国の先生方がこの保険の良さを知り、生活安定につながるのなら…」と考え、さらに、「募集と運用による利益の中から事業や運営のための財源にも道をひらく」との英断を下し、教弘保険が開発された。

それにより、昭和27(1952)年7月1日「日本教育公務員弘済会(日教弘)」が創立し、教職員による相互扶助の精神に基づく共済事業(教弘保険)を原点として、後の教育・文化の向上発展に寄与する礎が築かれた。

2.北海道教育公務員弘済会の創立

北海道教育公務員弘済会(北教弘)は、日教弘の16番目の支部として、昭和29(1954)年10月、産声をあげた。それは、同年5月に元理事長の梶浦善次氏が協栄生命札幌支社長の丹治友二氏から、「教育公務員弘済会という先生方のために大変良い組織が出来ているので、北海道でも、その設立をお手伝いしたい」との相談を受けたのが、北教弘発足に関わる始まりとされる。

その前年、昭和28(1953)年全国連合小学校長会研究大会が札幌で開催された折に静岡県校長会から北海道での設立に向けての働きかけがあり、さらには、日教弘本部も設立に向けての説明のため来道した。この頃、日教弘では財団の設立を目指して文部省と折衝中だったが、実績がなく受け付けてもらうことができなかった。しかし、東京、広島、香川をはじめ11都県で新たに支部が結成される状況となり、参加する支部が増えてきたことから、文部省も昭和29(1954)年6月に申請を受理した。

こうした状況下で、本道では支部結成の機運が醸成され、昭和29(1954)年7月、北海道教育公務員弘済会会則並びに細則を制定、同10月、理事長に元道副知事の福田藤楠氏が就任し、北教弘が誕生した。

3.全国組織の確立へ

日教弘は組織、事業、財政の整備充実に努め、文部省に対して財団法人設立許可申請を行い、昭和30(1955)年7月6日に財団法人としての許可を受けた。その後、日教弘は、各都道府県関係者に呼びかけ、全国に「教育公務員弘済会(都道府県教弘)」の設置を奨励、昭和33(1958)年には46都道府県にそれぞれ設立され、日教弘はこれらの都道府県教弘を支部とし本部組織発足の運びとなった。

また、沖縄県が本土復帰した昭和48(1973)年に沖縄県教弘が発足し、名実共に全国組織が確立された。

4.財政基盤が整い充実躍進の時代へ

昭和48(1973)年「北海道教弘だより」第1号を発行。昭和50(1975)年、創立20周年を迎えた日教弘北海道支部は、会員が6,400余名に増えた。また、それまでは貸与奨学金(年5万円)のみであった事業は、会員の増加とともに年々新事業が企画・実施されるようになった。

この頃に開始された事業の多くは現在にも引き継がれており、会員の福祉向上と本道教育界の振興に大きく寄与している。

平成3(1991)年には、会員数は2万名を越え、平成9(1997)年からは教育研究実践校助成、平成12(2000)年からは北海道支部独自の指定宿泊施設利用補助などが実施され、事業の補助・助成内容が充実してきた。現在では15の教育振興事業と8つの福祉事業を実施するまでになった。

5.協栄生命破綻から改革発展へ

平成12(2000)年10月20日、日教弘・北教弘の歴史上、もっとも厳しい試練の日となった。共済事業提携会社であった協栄生命保険(株)が、会社の破綻を宣告したのである。全国・全道の教職員、学校長、教育関係者に大きな衝撃を与え、会員に大きな損失と負担を強いることになった。

平成13(2001)年4月2日、会社更生認可の判決がおり、「ジブラルタ生命保険(株)」として営業を再開した。日教弘との提携については、これまでの関係を継承・発展させ、教職員の互助共済に尽くしていくことが確認された。

ジブラルタ生命保険(株)は、日教弘との強い絆により、信頼回復に向けて順調な経営を展開した。

その結果、平成14(2002)年度及び平成15(2003)年度の決算報告では、新契約高や保険料収入を順調に伸ばし、国際的な格付け会社からも最高水準の評価を得るようになった。質の高いきめ細やかな顧客サービスが受け入れられたからと言える。

平成16(2004)年度には、当支部創立50周年を迎え、奨学・研究助成・福祉事業等をさらに充実させた。平成19(2007)年度からは、新たに給付奨学金及び奨励金給付事業(令和3年度で終了)を行い、公益性のさらなる拡大を図り、一層の社会貢献性を強めてきた。教弘保険の加入による現職会員の純増は、平成16(2004)年度より13年間連続全国第1位の成績を上げてきた。

6.公益財団法人として

平成24(2012)年4月1日に公益財団法人日本教育公務員弘済会は「民による公益の増進」を使命としてスタートした。「最終受益者は子どもたち」を教育振興事業の評価基準として、学校図書助成やスポーツパックなど青少年の健全育成に関わる教育振興事業を積極的に推進するとともに、公募による申請制度の拡大など、支部としての事業の更なる充実に向け、努力を重ねている。

令和6(2024)年度には、創立70周年を迎え、さらに各種事業を充実させている。

7.日本教育公務員弘済会北海道支部の沿革(会員数は4月当初の人数)

  • 昭和29(1954)年度
    日本教育公務員弘済会の16番目の支部として北海道教育公務員弘済会創立
  • 昭和33(1958)年度
    奨学金貸与事業開始
  • 昭和36(1961)年度
    有限会社円山商事を設立
  • 昭和39(1964)年度
    研究助成事業開始 道支部会員・準会員数8,800名
  • 昭和48(1973)年度
    会報「教弘だより」第1号発行、大通西9丁目協栄生命ビルに事務所移転
  • 昭和50(1975)年度
    創立20周年記念式典挙行 道支部会員数6,435名、地区毎の評議員会を新たに開催
  • 昭和56(1981)年度
    有限会社円山商事を有限会社北教弘商事に変更
  • 昭和59(1984)年度
    創立30周年記念式典挙行 道支部会員数15,914名
  • 平成 6(1994)年度
    創立40周年記念式典挙行 道支部会員数21,795名
  • 平成 7(1995)年度
    財団法人北海道教育弘済会設立
  • 平成12(2000)年度
    提携会社である協栄生命保険(株)が破綻
  • 平成13(2001)年度
    会社更生認可の判決を受け、ジブラルタ生命保険(株)として営業再開
  • 平成14(2002)年度
    規約を改正し、日本教育公務員弘済会北海道支部となる 道支部会員数17,701名
  • 平成16(2004)年度
    創立50周年記念式典挙行 道支部会員数16,862名
  • 平成19(2007)年度
    高校生等への奨学金給付及び奨励金給付事業開始
  • 平成20(2008)年度
    有限会社北教弘商事を有限会社北教弘に変更
  • 平成21(2009)年度
    札幌市中央区南1条西8丁目クリスタルタワーに事務所を移転 道支部会員数19,009名
  • 平成22(2010)年度
    財団法人北海道教育弘済会を吸収合併
  • 平成24(2012)年度
    公益財団法人 日本教育公務員弘済会北海道支部としてスタート 道支部会員数20,685名
    有限会社北教弘を株式会社北海道教弘に変更(共済事業業務引受会社)
  • 平成26(2014)年度
    創立60周年記念式典挙行 道支部会員数21,635名
  • 令和 元(2019)年度
    道支部会員数24,050名
  • 令和 5(2023)年度
    大学給付奨学金事業(予約型)開始
  • 令和 6(2024)年度
    創立70周年 道支部会員数23,155名
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