1.創立に至るまで
北海道教育公務員弘済会は、日教弘の16番目の支部として、昭和29年10月に産声をあげました。
昭和29年5月、元理事長の梶浦善次氏は、協栄生命札幌支社長の丹治友二氏から「教育公務員弘済会という先生方のために大変いい組織が出来ており、北海道でもそれをそっくりお手伝いしたい」との相談を受けたのが、北教弘発足に関わる始まりです。
同年、全国連合小学校長会研究大会研究協議会が札幌で開催された折に静岡県校長会からの働きかけや日教弘本部からの説明もあり、支部結成への動きが始まりました。
一方、この頃、日教弘では財団の設立に向けて文部省と折衝中でありましたが、実績がなく受け付けてもらうことができませんでした。しかし、東京、広島、香川をはじめ11都県で新たに支部が結成され、文部省も昭和29年6月に申請を受理しました。
こうした状況下で、本道では支部結成の機運が醸成され、昭和29年7月、北海道教育公務員弘済会会則並びに細則を制定、同10月、理事長に元道副知事の福田藤楠氏が就任し、北教弘が誕生しました。
2.支部教弘の充実
昭和50年、創立20周年を迎えた日教弘北海道支部は、会員も6,400余名に増え、それまでは奨学金貸与(年5万円)のみであった事業も、会員の増加と共に年々新事業が企画・実施されていきました。
平成3年には、会員は2万名を越え、指定宿泊施設利用補助、平成9年からは教育研究実践校助成などが実施され、補助・助成内容が充実してきました。
平成16年には、創立50周年を迎え、奨学・研究助成・福利厚生事業等をさらに充実させ、平成19年からは、新たに給付奨学金及び奨励金給付事業を行い、公益性のさらなる拡大を図り、一層の社会貢献性を強めてきました。さらに、平成23年には学校図書助成事業、平成25年には読書教育推進事業などの新規事業を開拓し、北海道教育の振興に積極的に寄与してきました。
また、平成26年には、創立60周年を迎え、公募による申請制事業の拡大や充実に努めました。平成27年度からはブックパックや人間ドック受診補助事業を試行として立ち上げ、さらに充実した事業を展開するようになりました。
一方、教弘保険の加入による新規会員の純増は、全国でも11年間連続第1位の成績を上げ、事業推進への基盤がより強固なものとなってきています。
3.(財)日教弘の制度改革への対応
平成7年3月、(財)北海道教育弘済会が発足しました。それまで(財)日本教育公務員弘済会の支部として様々な事業を実施してきましたが、北海道の独自性を強め、公益法人としての公益性を一層鮮明にするために設立されました。教育研究大会助成、奨学金給与事業及び教育事情視察研修の事業を推進し、誕生して以来15年間その事業充実に努めてきました。
平成21年6月、公益法人制度改革が国レベルで具体的になり、すべての財団が、公益か一般かの選択をすることになりました。そこで、㈶北海道教育弘済会は、㈶日本教育公務員弘済会北海道支部として、公益法人としての道を歩むこととなり、平成21年7月、道教委を通して文科省にその合併許可申請書を提出し、平成22年1月、認可されました。
従いまして平成22年4月1日からは、(財)北海道教育弘済会は発展的解消となり、(財)日本教育公務員弘済会北海道支部に吸収合併され、3事業も引き継がれました。
4.(財)日本教育弘済会の誕生と合併
(財)日教弘は、文部科学省を主務官庁とする財団法人として、極めて高い評価を得てきました。それは、「自らの財源による自らの運営」という原則に基づき、我が国の教育・文化の向上発展と教育関係者の福祉向上に長く尽力してきた結果からでした。
北海道支部においても同様に、これまでの事業実績は内外ともに高く評価されてきました。それは、本支部が精力的に実施してきた公益としての教育振興事業、共益としての福祉事業に対する確かな評価でもありました。こうした評価を支えに、(財)日教弘は一丸となって公益法人認定を目指すこととなりました。
(財)日教弘は、今日期待される「民による公益の増進」に応えるため、将来にわたって公益財団法人としての確固たる道を歩むことを決意し、公益法人への移行認定に向けて必要な諸条件の整備に取り組むこととしました。
改革の方向として、前述のフリー(団体自治)・フェア(透明性)・グローバル(公益性)を大前提とし、公益認定基準の財務3原則である「公益事業費比率の確保」「収支相償の遂行」「遊休財産の保有制限」を基本に据えながら、改革への具体的な手順を進めていきました。
こうした動きに沿って、北海道支部も、差し迫った課題である、公益目的事業(奨学事業・教育研究助成事業・教育文化事業)の予算比率50%以上を堅持し、公益事業の拡充に努めてきました。
また、収納業務等を行っている「株式会社」と公益事業等を推進している「財団法人」との間の「ヒト・モノ・カネ」を明確に区分した組織運営も重要な課題となり、組織の独自性と透明性を図りつつ、合意と納得に基づいた運営を進めています。
5.公益財団法人認定以後の取組
(財)日教弘は、平成24年4月1日付で公益財団法人の認定を受け、歴史的な一歩を踏み出しました。このことにより、社会的信用度は格段に増すことになったが、反面、第三者による厳しい指摘や評価を受けることにもなりました。それは、「民による公益の増進」という公益法人改革としての使命を真摯に受け止め、公益財団法人としての信頼と信託に応え、教育振興事業の充実・発展に向けて一層努力していかなければならないということを意味しました。
まだまだ改革は道半ばである。本支部としても、公益法人制度改革の基本的な立脚点に基づき、ガバナンス(団体自治)、コンプライアンス(法令順守)、ディスクロージャー(情報公開)の法人運営の3原則を十分認識しつつ、改善・改革を進めているところです。
6.北教弘(公益財団法人日本教育公務員弘済会北海道支部)の沿革
昭和29年 | 日本教育公務員弘済会の16番目の支部として北海道教育公務員弘済会創立 |
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昭和33年 | 奨学金貸与事業開始 |
昭和36年 | 有限会社北教弘の前身である有限会社円山商事が設立 |
昭和39年 | 研究助成事業開始 会員・準会員数8,800名 |
昭和45年 | 各種教育関係団体の会長を本会役員に委嘱 |
昭和48年 | 会報、「教弘だより」第1号発行、大通西9丁目協栄生命ビルに事務所移転 |
昭和50年 | 創立20周年記念式挙行 会員数6,435名、地区毎の評議員会を新たに開催 |
昭和56年 | 有限会社円山商事を有限会社北教弘商事に変更 |
昭和59年 | 創立30周年記念式挙行 会員数13,914名 |
平成 6年 | 創立40周年記念式挙行 会員数22,913名 |
平成 7年 | 財団法人北海道教育弘済会設立 会員数23,568名 |
平成14年 | 規約を改正し、日本教育公務員弘済会北海道支部になる 会員数17,701名 |
平成16年 | 創立50周年記念式挙行 会員数17,136名 |
平成19年 | 奨学金給付及び奨励金給付事業開始 |
平成20年 | 有限会社北教弘商事を有限会社北教弘に変更 |
平成21年 | 札幌市中央区南1条西8丁目クリスタルタワーに事務所移転 |
平成22年 | 財団法人北海道教育弘済会を吸収合併 |
平成24年 | 公益財団法人 日本教育公務員弘済会北海道支部としてスタート |
平成24年 | 有限会社北教弘を株式会社北海道教弘に変更 |
平成26年 | 創立60周年記念式挙行 会員数21,635名 |
令和 元年 | 会員数 24,050名 |